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花火

ひゅるるぅ。

火の玉が舞い上がり、パン。と音を立てて散った。
続いて、三つ、四つと夜空へ舞い上がり、花の様に咲き、そして散って行く火の玉。
「奇麗」
ノブが呟いた。小さな手で綿飴を握り、もう片方の手ではアキラの太い腕をしっかりと掴んでいる。迷子にならないようにと、祭りに来る前に母に何度もそう注意を受けたのだ。
「あ、ねぇねぇ。お兄ちゃん。約束守ったから、ねぇ。ほら」
「へ?」
アキラが振り向く。ノブを上から覗き込む様にして見つめる。ノブよりもずっと背は高いが、自分よりも幼い顔をしているんじゃないかと、ノブは時々思った。まん丸の顔に小さな瞳。ぽっこり突き出したお腹は赤ん坊を大きくした様な体型にしか見えない。
「お母さん言ってたじゃん。約束守ったら兄ちゃんに何か買ってもらっていいってさ」
「あ…そうだったな」
ポリポリと頭を掻きながらアキラは財布から300円を取り出した。ノブの小さな手にお金を落とすとノブは嬉しそうに人ごみの中へと駆け出して行った。
「お、おい。さっそく離れるなって!」
追いかけようとしたが声は届いてなかった。ちょうど夜空で散った花火の音のせいだった。
「ま、いいか」
アキラは帯が少し解け始めているのに気がつき、慌ててそれを直す。
お父さんのお下がりの浴衣はアキラの体にとってとても小さいサイズだった。突き出したお腹が太鼓腹だけに帯を体の外に力強く押し出している分もあるが、もしかしたら、十分程前にノブと共に食べた大盛りの側のせいもあるかもしれない。…と勝手に自分で言い訳を考えてもみる。
いや、でも今はそんなことはどうでもいい。浴衣の下が問題なのだ。なぜなら浴衣の下は…。
「おい。ア〜キラくん」
アキラは後ろを振り返った。気がつくと同じクラスのトシキとケンゴが並んで立っている。もちろん二人とも普段着で。
「着て来たんだ。浴衣」
「へぇ〜やるなあアキラ。お前ならやると思ってたけどな。まさか本当にやるとわな」
二人はアキラをせせら笑う。学校でも太っちょのアキラは二人に会うといつも体型のことをいじられていた。もちろんアキラにとっては何の楽しくないいじりも二人にとっては相当な暇つぶしに当たるんだろう。アキラが嫌な顔をすればするほど、二人はそれでも何も言わないアキラのことを楽しそうに冷やかすのだ。
「え…いや…え?何で二人とも?」
アキラはまだ意味が分からず二人を見つめる。確か今日学校で二人にこういわれたはずだった。

『今年の祭りはさ。浴衣じゃないとダメみたいだぜ?』
『しかもノーパン。俺、行くのやなんだけど』
『え?ぼく弟と行くんだけど…』
『いいだろ。俺ら三人でノーパンなら怖くないって。固まって時間過ごそうぜ』

アキラはさっと顔を赤らめた。すーすー風を通す股間に危うく手を置きそうになる
「そ。そんな…あれ、嘘なの?」
「だってぇ。俺らの可愛い嘘なんてさ。信じてくれるのアキラしかいないと思ったもん〜」
「でも、まさか本当に浴衣で来るとわな。それにその下も…」
ケンゴがアキラの帯に手をかけようとしたときだった。ちょうどノブが二人の後ろからやってきた。二人の会話が止まる。
「兄ちゃーーん。どこいってたの?」
何も知らずとノブは泣きそうな声でそう言う。
「え、あ、ああ。ごめんごめん。ってか、俺はずっとここにいいたぞ?お前こそ、どこ行ってたんだよ」
「だってぇあっちまで行っちゃってたもん」
ノブは今度は駄々をこねる様にそう言ったが、機嫌良さそうにチョコバナナをおいしそうに頬張っていた。
「じゃあ、そう言う訳だから」
アキラはそう言ってトシキとケンゴに手を挙げた。二人は面白くなさそうに顔を見合わせ合う。アキラは弟の手を引いて故意に人ごみの中へと紛れて行った。
「あぁ。どうしよう…」
アキラは盆踊りが行われている近くの木に頭をなすり付けてそう呟いた。
「何がぁ」
ノブが隣の雑草の上に腰を下ろして呑気に呟く。何も知らずに彼は花火と盆踊りを交互に見つめている。
「お前、パンツ履いてるよな?」
真剣な口調でポツリとアキラはノブに尋ねた。
「当たり前だよ」
ノブは顔を隠してそう返す。「でも、パンツでも恥ずかしいよ。風で捲れたらパンツ見られちゃうし」
ノブは自分の着ている小さな浴衣の腰の辺りを捲り白ブリーフをちらりと見せる。
「お、お前はいいだろ。小学生だから」
アキラはわざとらしく笑って、頭を抱えた。
「しまったぁ…ノブに聞いときゃあよかった」
自分にだけ聞こえる声でアキラは蚊の泣く様にそう呟く。普通に考えればノーパンなんておかしいなんて気づくはずだ。特にトシキとケンゴから振って来た話だ。何で自分はこうも馬鹿なんだろうと悲しくなる。だが、もう取り返しがつかない。ここで浴衣が捲れることを考えれば、もう帰るのが一番の策かもしれない。アキラはノブに帰宅案を持ちかけた。
「ええ!?」
意外そうにノブはそう言うと策の上で寝転がりながら短い手足をバタバタさせる。
「いやだいやだ!!もっといる!」
「でも、ほら!お母さん心配してるぞ。兄ちゃんお金もうないし」
適当に案を並べる。正直一刻でも早くこの場を去りたいのが今の心境なのだ。
「やだよ。やだよ!帰らない!絶対いや!」
「ノブ!ワガママいうと、お兄ちゃん怒るぞ!」
カッとなってアキラは片手をあげる、その時だった。
「おーい」
二人の重なった声が聞こえる。ノブは気がついて泣くのを止めた。アキラは恐る恐る後ろを振り返る。その時だった。
「そーれ!!!」
まるでスカートを捲る様に、ケンゴがバッとアキラの浴衣を捲り上げた。アキラの下半身が丸見えになる。
後ろは二人の方に。そして最も隠したい小さいイチモツはノブに向けられて。
「な、なにそれーーーー!!」
ノブが大声を上げた。ちょうどよく花火が音を立てて鳴る。暗くて、誰も気がつかない。
「お尻丸出し〜」
トシキがアキラの大きなお尻を平手で叩いた。
「だ、何するの!!!やえて、よぉ!」
慌ててアキラは浴衣を下げようとする。しかしただでさえ大きなアキラの体を閉じ込めていた浴衣は、支えの帯の力もなくし、完全に形を崩してしまっていた。
帯が下に落ちる。トシキがそれを拾い上げた。
「へっへっへ。ノーパンでぶっちょ。これが返して欲しいかな〜!?」
「返してよ!!…わっちょ、やめてよ!ケイゴくん!!」
お尻を見ただけで気の済まなかったケイゴは必死で隠そうとするアキラの浴衣を捲り上げようと必死だった。後ろではなく前の箇所だ。
ノブは気が狂った様に芝生の上で笑い転げている。
何もしなくても自動に開いてしまうアキラの浴衣を彼は上へ横へと引っ張るのだ。腰を引きつつ逃げ回るアキラは涙声で必死に抵抗するが、盆踊りの音のせいも会って、周りの人は全く気づく気配もない。笛の音が聞こえ、太鼓の音が響く。
花火がパンッと音を立てた。一瞬の光がちょうど良く捲られていたアキラの小さなイチモツを映し出す。
「あっはっは!生えてねー!こいつ!小さい小さい!」
ケイゴが声を上げた。
「やめてぇ!放してよぉ!」
ケイゴはニマッと笑うと、さっとアキラの浴衣から手を放した。もちろん突然手が離れたのでアキラはそのままノブの方へと頭から転がってしまう。丸っこい体は団子の様に一回転すると、アキラの浴衣は完全にはだけてしまい。さらにそのまま、大股を自らの弟に向けて開く様にして倒れ込んでしまった。
「兄ちゃん、ちんちん丸見え!」
ノブがまた高い声で笑うと、調子づいたケイゴがアキラの両足を掴んだ。一歩行動が遅れたアキラは命取りになる。アキラの両足が上がり、むちむちに膨らんだお尻がノブに向けられる。
「やだああ」
ノブがそう喚いたが全く嫌そうな顔をしていなかった。むしろ楽しんで兄の見たことのない恥ずかしい格好を楽しんでいる様に思えた。
「ちっちゃいマシュマロみたいなの、なにこれ?」
奪った帯でトシキはアキラの股間をぴしゃぴしゃ叩いて、玉と棒を揺らす。さらに両手隠そうとするアキラの手をトシキはしっかりと脇で固めた。
「やだ、…やだ!」とアキラは喚いたがその二つがプラプラ揺れるだけで、それはノブを笑わせるだけの役目にしかならなかった。さらに大きなお尻も強調されて、さらにそれは自分を惨めな格好へと追いつめて行くのだった。
「穴も見えちゃってるじゃん」
ケイゴもノブ側から覗き込んでノブの代わりに呟いた。ノブもちょっと恥ずかしそうに頷いた。
「あはは、うん。見えてる」
「えーん。アキラお兄ちゃんはぢゅかしぃよ〜。えーんえーんえん」
ケイゴはノブに見せつける様にアキラの股を開いて、アソコとその下に付いている玉の袋を強調させると、さらにアキラの足を自転車をこぐ様に上下対照的に運動させて遊ぶ。
「えーんえーん。見ないでぇ〜。アキラお兄ちゃんのでかいお尻と〜ちっちゃいちんちん見るのやめてぇ〜〜」
まるで太鼓に合わせる様に、アキラは足だけでいろいろなポーズをさせられた。真っ赤な顔で必死に抵抗するが力では敵わなかった。
うわあああ。
「弟くん。ほら、摘んでみろ!」
「触ったことないだろ。アキラの豆チンコ」
「いい機械だぞほら」
ケイゴがアキラの股を開く。
「嫌だ!!の、ノブ!や、やめてお願い!」
「いいぞ。今ならできるぞ」
そしてとうとう最終的にはノブにまでアソコを摘まれてしまった。
うわあああ。
涙を流して泣き叫ぶアキラの声がまるで火薬に火を灯す様に。
そして、それが同時に夜空へ上がる様に。
花火の花が開く。

ひゅるるぅ。
パンッ。

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